新屋高等学校 中期ビジョン(5ヵ年計画)(令和3年6月)

本校が目指す5年後の姿(具体的な目標)

1. 学校の現状や課題

平成28年度から令和2年度までの中期ビジョンの検証から、現状と課題を次のようにまとめた。

①生徒指導が行き届き、安心して学ぶことのできる環境が整備された学校

全職員で整容、挨拶、通学、清掃等の指導に取り組み、生徒は基本的な生活習慣が身に付き、落ち着いて学校生活を送っている。問題行動で指導される生徒が非常に少ないことからも、生徒の学校生活の環境は良好であると言える。

②基礎学力・応用力が確実に身に付き、多様な進路実現が可能な学校

平成28年度から令和2年度までの5年間で卒業生は40%が4年制大学へ、短期大学や専修学校等を合わせると80%を超える生徒が進学している。一方で就職する生徒も15%程度おり、進路先は多岐にわたっているため、個々の進路実現に応じた指導をしている。国公立大学合格者は、令和2年度は8名と落ち込んだが、20名前後で推移してきた。

③生徒の自主活動が活発で、地域との連携に積極的に取り組む学校

本校は設立当初から地域との交流活動に積極的に参加している。現在、年間を通して恒例のものが6~7事業、その年ごとに行われるものが4~5事業を数える。以前はほとんどが生徒会と吹奏楽部の活動であったが、近年は学校設定科目として授業の中で活動することや生徒会中心の生徒への呼びかけにより、希望者の参加も増加している。特に、年に2回実施される海岸清掃ボランティアは、100名を超える参加が見られる。今後は地域貢献の一環として、部活動の特徴を生かせる活動や一般生徒が参加しやすい活動をより一層推進したい。

④部活動が盛んで、各種大会においても上位入賞が可能なレベルを維持する学校

部活動への加入率は、平成28年度から令和2年度までを通して、運動部50%、文化部25%と、高い状態が維持されている。
部活動においては、平成28年度は弓道部、バドミントン部がインターハイに出場し、複数の競技が全国大会への出場という目標を達成している。平成29年度以降は、全国大会の出場は弓道部のみであるが、他の部活動で、東北大会出場を複数で果たし、全国大会への出場もあと一歩のところであった。

2. 学校を取り巻く将来の状況の予測

①生徒数の推移

平成27年度入試より募集定員が25名減の175名となった。本校への入学生は新屋地区の中学校をはじめ、秋田市内からの入学が全体の約9割を占めている。中でも新屋高校近郊に位置する中学校から多くの生徒が通っている。本県の少子化の影響もあり、近年は定員割れが生じている。今後もこのような状況が避けられない可能性がある。

②志願者の倍率

一般選抜の平均倍率は平成28度入試から令和2年度入試までの5年間における平均が1.14倍であり、前回の中期ビジョン時より0.12ポイント下がっている。平成31年度の0.99倍に続き、令和3年度は0.88倍と2度の定員割れをした。前期選抜においても平成31年度は0.95倍、令和3年度は0.87倍という状況である。
背景には、秋田県全体の少子化に伴う自然減によるもの、他校に比べて通学に不便な立地条件、本校と競合する立地条件の良い私立学校の改築、共学化、校舎の老朽化による学習環境の劣化等様々な要因が考えられる。このような要因を払拭できるような、「適性や多様な進路志望に応じたきめ細かな進路指導」「部活動のより一層の振興」「地域との連携による地域に根ざした学校の推進」を図っていく必要がある。

3. 目指す方向性や学校像

①本校の教育方針

Ⅰ 基本的生活習慣の確立     Ⅱ 学力の向上
Ⅲ 特別活動の充実        Ⅳ 地域への貢献

②目指す生徒像及び学校像

「知・徳・体」の調和のとれた人格の完成を目指すとともに、「自尊 自知 自制」の校訓のもと、社会の幸福に貢献できる生徒の育成を目指す。また、本校がこれまで取り組んできた「地域に根ざし、生徒指導の行き届いた学校」づくりは成果が現れており、今後もこれまでの方向性を踏襲しながら「地域に貢献し、地域の信頼を得て充実した部活動と進路目標の実現が果たせる学校」を目指していく。

4.5年間で達成を目指す具体的目標

・国公立大学合格者数が30名以上、就職決定率100%となるようにする。
・部活動において、毎年複数の競技が全国大会への出場を果たす。
・地域との交流事業に年間10事業以上参加または実施する。


具体的な取組等

1. 生徒指導が行き届き、安心して学ぶことのできる環境が整備された学校

・全職員で生活指導(整容、挨拶、ベル着ベル授業、清掃、通学等の指導)に取り組む。
・キャリア教育の一環としての生徒指導を徹底し、社会人として必要な基本的な素養を身に付けさせる。

2. 基礎学力・応用力が確実に身に付き、多様な進路実現が可能な学校

・「キャリア教育全体計画」に基づき、生徒、保護者の多岐にわたる進路希望に対応するための学習機会や情報の提供に努め、早期の進路目標明確化を促す。

・平成30年度入学生から新たに「地域と共に生きる新高生」を育てるために「3年間の進路指導ストーリー」を作成し活用する。また、キャリア手帳を持たせて、主体的な学びを記録し進路実現に活かす。

・ポートフォリオの作成と活用を通して生徒の学習活動を「見える化」し、PDCAサイクルの形成を促し、主体的な学びへの意欲を涵養する。

・1年生から探究活動と発表活動を行い、対話を通して、思考力・判断力・表現力等を高めさせる。

・進学および就職に対応した教養コースを2、3年次に設置し、「地域コミュニケーション」「キャリアプランニング」の学習を通して地域社会に対する理解を深めさせ、地域の活性化に貢献する意識を育てる。

・地域企業へのインターンシップ、社会人講師による職業講話等を実施し、職業観を学ぶとともに、自己の能力や適性に応じた進路を自ら選択できるようにする。

3. 生徒の自主活動が活発で、地域との連携に積極的に取り組む学校

・生徒会、写真部、有志による日吉神社山王例大祭への参加、新高祭での仮装行列の地域幼稚園訪問、保育ボランティア、小学校への高校生助手派遣プログラム等の活動を行う。

・生徒会、吹奏楽部を中心に、栗田支援学校との交流活動の拡大を図る。

・有志による「ももさだ海岸」清掃活動を年2回実施する。

・学校設定科目「地域コミュニケーション」の中で地域についての学習(新屋の歴史の理解、地域企業研究、地域ボランティア活動等)を積極的に推進する。

・吹奏楽部による地域での演奏活動を行う。

4. 部活動が盛んで、各種大会においても上位入賞が可能なレベルを維持する学校

・外部コーチ(卒業生、社会人)等の積極的活用を通して、継続的な強化を図る。

・前期選抜による入学者に対する学習支援と進路指導を行い、文武両道を実現する。

・学校後援会、同窓会の組織の充実と両会からの部活動に対する支援強化をお願いするとともに、部活動同窓会の充実を推進する。